
長期投資とはいうけど、実際どうやって作っていけばいいのかよく分からないなぁ
投資の勉強をし始めたころは「”リスク分散”を意識したポートフォリオを作成するべきだ!」とか「資金力が少ないうちは一点集中で投資すべきだ」などいろんな意見を目にすることがあります。
私はギャンブル的な投資には反対なので、まずは安定した長期投資の構築(リスク分散を意識したポートフォリオの構築)をすべきという考えのもと長期投資を実施しています。
この備忘録では、①リスク分散を意識したポートフォリオの資産構成目安、②資産を分散する意味合い(とくにコモディティの必要性)③リスク分散をすることの意味、について書き残しています。
安全資産・リスク資産・コモディティに分散

リスクを分散させるのは経済危機時にも対応するため
基本的にはリスク資産である株式への投資がベースです。
経済成長時にはこの部分が成長してくれますが、これだけでポートフォリオを組むと経済危機の際にその影響をモロに受けてしまします。
そこで、堅実に資産を増やせる(あるいは減りにくい)構成にするために、コモディティ(金・銀・プラチナ等)や安全資産(主に現金預金)をポートフォリオに組み入れています。
構成の目安としては、安全資産が2割・リスク資産(株式)が5割・コモディティが3割として運用しています。
コモディティは必要か?
結論として、「あったほうが良い」と考えています。
一口にコモディティといっても貴金属・ベースメタル・仮想通貨・原油・天然ガス・農業商品など様々ですが、私の場合は貴金属(金・銀)を中心に積み立てています。
さて、コモディティが必要な理由ですが、株式と相関係数が異なるからです。
つまり、株式市場が下がるときにはコモディティは上がる傾向があるということです。
たとえば、私はコモディティとして金(GLDM)・銀(SLV)を積み立てていますが、主要な指数であるS&P500・日経225の相関係数を見てみましょう




上記画像のローソク足チャートはGLDMあるいはSLVのものです。
オレンジ線はS&P500・日経225の終値の推移を指しています。
各画像の下に赤色の上下の山がありますが、これは山が上向きだと両者の値動きに相関性があり、下向きだと逆相関であることを示しています。
つまり、山が下向きであればGLDM・SLVがS&P500や日経225とは逆方向に値動きしているのです。
金や銀は比較的多く下向きの山が見られるので、市場が下がっているときにコモディティは上がっているということがあり得るわけです。
もちろん、コロナショックのような場合にはコモディティも下がってはいますが、その下落率は大きく異なります。
こういった面でも経済危機時のリスク分散にはなっていると思いますので、やはりコモディティは必要だと考えています(コモディティのETFについては別の備忘録でまとめていきます。)。
資産の分散は必要か?

1種類の銘柄に投資しちゃダメなの?
長期投資の肝はリスクを低くリターンをしっかり稼ぐという点にあると考えています。
つまり、資産を分散させることの意義は、先ほどのコモディティが必要かどうかというとこれでも触れたように経済危機でもその損失を減らしつつもリターンをたたき出すことにあると思うのです。
もちろん、投資戦略は十人十色であって、中には”資金力がないならば投資先を分散させずに個別株の一点集中のほうが効率的だ”という意見もありますし、それで資産を築き上げた方もいらっしゃるので間違いだとは思いません。
集中投資は分散投資よりもはるかに高いリターンを叩き出すかもしれません。しかし、高いリターンを出すちうことはそれだけにリスク高く、精神的に厳しいものがあります。
実際、私が投資を始めた当初は個別株を買って大きなリターンを狙っていましたが、日々の株価変動が気になって正直しんどい思いをした記憶があります。
もし、集中投資をしてみて精神的に耐えられるというのであれば集中投資戦略をとっても問題ないと思います。しかし、そうではなく、あくまで老後資金の確保をまずは確保したいと考えているのであれば、まずは堅実な長期投資ポートフォリオを組み、その後、短期投資用の資金で大きなリターンを狙った投資をしても遅すぎることはないと思います。
リスク資産(主に株式)のリスク分散~相関係数に着目した分散~
さて、ここまでで話した長期投資のポートフォリオの組み方については、”安全資産・リスク資産・コモディティに分散する”ということでした。
では、このポートフォリオで50%以上を構成するリスク資産の中身をどのように組み立てていくべきなのでしょうか?
この点も考え方は資産の分散と同じです。
一つの株式に集中させるのではなく、相関係数の異なる様々な株式に分散させます。
相関係数の異なるというと難しそうですが、要するに”買い付けた株式が違った値動きをするものを買う”ということです。
たとえば、リスク分散ということでAという株とBという株の二つを買ったとしましょう。
これでリスク分散ができたといえるでしょうか?
もし、A株とB株の値動きがほぼ一緒であれば敢えて分けて買った意味が無いといえます。(Aが値下がりしたときにBも同じように値下がりするのであれば、AかBどちらか1種類の株にしたとしても変わりがないでしょう。)
Aは値下がりしたけど、Bは値上がりした(あるいは小さな値下がりで済んだ)となるからこそ分散投資をする意味があるのです。
このように値動きの類似性を図る指標を相関係数と呼びます。(先ほどのコモディティの必要性の話でも出てきましたが)
例えばSPYとIVVというETF(上場投資信託)の相関係数を見てみましょう。

上図の赤い部分を見てほしいのですが、大体1.00のあたりを維持していますね。
相関係数は1に近ければ近いほど同じような値動きをしていることを指します。
SPYとIVVはほぼほぼ同じように値動きをすることが分かりますね(両方ともS&P500指数に連動しているので当たり前といえば当たり前なのですが)
つまり、この二つの銘柄を分けて買ったからと言ってリスク分散ができているわけではないのです。
例として、もう一つ見てみましょう。
今度はQQQとXLEという商品の相関係数を見てみましょう。

先ほどとは全然違いますね。
赤い部分がマイナスになっていることもありますが、マイナスになっているときは逆の値動きをしていることを意味します。
つまり、QQQとXLEは同じように値動きをすることもあるが、全く逆に値動きすることもある、と分かるわけです。
これであれば、分けて買っている意味があるといえそうですね。
ややこしそうなことを言いいましたが、
基本的には異なるセクター、異なる国に投資をしていればリスク分散としては十分だと考えていますので、難しく相関係数が云々と考え込んでしまうくらいなら、「どのセクターに投資してみようか、どの国に投資してみようか」という視点で投資した方がシンプルで分かりやすいですね。
ただ、”同じような値動きをしている銘柄”に投資をしたとしても、それはリスク分散としては不十分だという点は押さえておきましょう。
株式は個別株ではなくETF中心に構成
個別株は倒産リスクや予期しないニュースにより流れが一気に変わることがあるので、基本的にはETF(上場投資信託)で構成するのが無難と考えています。
もちろん、個別株が絶対にダメというわけではありません。私自身もポートフォリオの中にいくつか個別株があります。(ETFをオススメする理由については”【長期投資編】個別株よりETFがおすすめ?”に備忘録を残します。)

さて、ETFといっても様々ありますが、分散の観点から言えば複数のETFに分けていくべきです。
たとえば、S&P500指数に連動するSPY、先進国株式に投資をするVEA、途上国株式に投資するVWOなどあります。
既に株式やETFを保有している場合は自分の保有銘柄がリスク分散できているのか?
これから株を買いたいという場合には国・セクター・資産別に分けた構成を検討してみることをオススメします。
どのようなETFがあるのかについては別に備忘録を書き残していますので、ご参照ください。
・【長期投資編】ETFを探す①~米国市場~
・【長期投資編】ETFを探す②~セクター別~
・【長期投資編】ETFを探す③~投資地域別~
・【長期投資編】ETFを探す④~コモディティ~
~追記(2021.5)~
ETF紹介の備忘録ですが、ETFは運用会社ごとに似たようなETFがあり結局なにが違うのかよく分からなかったので、セクター別のETFの一覧記事を改めて作成しました。
・【長期投資編】セクター別ETF~運用会社別に分けてみた~
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