短期投資ではテクニカル分析によりトレンドを見つけます。
この備忘録で書き残すのは、①そもそも移動平均線とは何なのか、②移動平均線からどうやってトレンドを見つけていくのかということです。
移動平均線とは
移動平均線とは、一定期間の終値の平均値を線にしたものです。
”一定期間”には様々な値があります。
たとえば、2021年1月の日経平均株価を例に5日移動平均線がどのように算出されるか見てみましょう。

日経平均株価の終値は1月以前からもあるので、本来であれば1月4日~7日の部分についても5日移動平均の値は算出されますが、上の例では分かりやすくするため1月以前は無いものと考えます。
1月の日経平均の終値は図の通りで、最初の5日間の終値をみてみると
1/4=27258.38
1/5=27158.63
1/6=27055.94
1/7=27490.13
1/8=28139.03
となっていますね。
この5日間の終値を足し、5で割ると5日の終値の平均値が出てきます。
そして、この5日間の終値の平均値をつなぎ合わせることで5日移動平均線を書くことができます。
移動平均線の期間は5日だけでなく様々ありますが、「〇日移動平均線」は「〇日間の終値の平均値を線で結んでいったもの」という点は変わりありませんので難しくはありませんね。
ちなみに、実際にチャートで移動平均線を表示させると3本の移動平均線が出てくることが多いかと思います
私がよく使っている楽天証券のチャートでも移動平均線は3本です。
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3本の移動平均線は、短期・中期・長期と分けられていて、その期間は様々ですが、期間が長くなるほど移動平均線の変動幅は緩やかになります。
私がよく使用している上記の楽天証券のスマホアプリでは、「短期=5日・中期=25日・長期=75日」がデフォルトとなっています。
短期・中期・長期の期間は投資家によって設定が様々なようで、50日・100日・200日を好んで使用する投資家も多いようです。
どの期間に設定するかは使用しながら決めればよいと思いますが、基本的には多数の投資家が使用していると考えられるデフォルトの設定を押さえておくことで問題はないと思います。(多くの投資家が同じ指標を見て取引をしていると考えられ、トレンドを探りやすいと考えるからです。)
移動平均線から分かること

移動平均線がどうやって引かれるのかは分かったけど
具体的に移動平均線のどういうところを見ればいいんだろう?
1.ゴールデンクロスとデッドクロス
これは”【短期投資編】トレンドに乗る短期投資戦略”でも少し触れましたが、短い期間の移動平均線がより長い期間の移動平均線を下から上に突き抜ける場合(ゴールデンクロス)には上昇トレンドの始まり、逆に上から下に突き抜ける場合(デッドクロス)には下降トレンドの始まりを示すサインである可能性があります。


上の図はゴールデンクロスとデッドクロスの例ですが、いずれもクロスしたときには割と大きく価格が上昇し始めたり、下落し始めたりしていますね。
注意点は移動平均線がクロスしていれば全部ゴールデンクロス・デッドクロスと呼ばれるわけではなく、ゴールデンクロスの場合は上に抜ける移動平均線も突き抜けられる移動平均線も上向きでなければいけません。
デッドクロスの場合も同様に、どちらの移動平均線も下向きでなければいけません。
もちろん、これらのサインは絶対的なものではなく、”上昇または下降トレンドへ転換する傾向がある”という点については留意しておかなければいけません。
しかし、移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスは多くの投資家の基礎知識・常識となっています。
市場は人々の心理を反映しています。
もし、その人々がこれらの指標を売買の判断材料にしているとどうなるでしょうか…
盲信してはいけませんが重要なサインであるといえるでしょう。
実際にトレンドを判断する際には他のテクニカル分析ツールとも併せて判断するとよいでしょう。
2.トレンドを可視化する
移動平均線は様々な期間を設定できます。
私が普段使用しているのは楽天証券のデフォルト値である5・25・75日です。
これは1週間、1カ月、3カ月の平均価格を見ているものだと思うのですが、より大局的にトレンドを見たい場合には200日に設定することもあります(楽天証券のスマホアプリだと100日が限度なので、TradingViewで確認します)。
移動平均線は期間が長くなればなるほどなめらかな線となりますが、200日の移動平均線をみることにより、その銘柄が長期間で右肩上がりとなっているのか、あるいは下がり傾向にあるのかを可視化することができます。
もっとも、短期投資の場合、長期的なトレンドを見たところであまり意味が無いと考えているので、一応確認する程度にしか利用していません。
また、株価が移動平均線の上にあるか、下にあるかによってもトレンドを推測することができます。
たとえば、5日移動平均線の上に株価があった場合、それは過去5日間の終値の株価よりも現在株価の方が高いということを示しているので、「買いの勢いがあるのでは?」と考えることができます。
それが25日、75日と長い移動平均線よりも上にあると、より長期的に買われている=上昇傾向にあると考えることができます。
3.市場の心理を読む(補足)
よく「200日移動平均線を価格が割りそうだからヤバイ」などという話をSNSなどで見かけます。
正直、私は「ふーん」という感じで見ているですが、これは一体どういうことなのでしょうか?
最初にも書いたことですが、移動平均線は一定期間の終値の平均価格を線で繋いだものです。
たとえば25日移動平均線であれば25日間の株価の平均価格を示しています。
株価が移動平均線の上にある場合、この25日間で株を買った人の多くが含み益の状態であると考えられます。
逆に、株価が移動平均線の下にある場合には、この25日間で株を買った人の多くが含み損を抱える状態と考えられます。
このことを踏まえると、株価が移動平均線を下に割ってしまうということは含み損を抱える人が出てくるため、心理的に「売りが増える」と考えられ、下降トレンドが始まりやすくなるのではないかと思うのです。
要するに
「株価が移動平均線を下回る」⇒「損する人が増えると考えるから売る」⇒「株価が下落する」
という流れがあるのだと思います。
もし、5日移動平均線のような短期的な移動平均線であれば損を抱える対象範囲も少ないのでインパクトも小さいと思うのですが、これが200日移動平均線となると、その対象範囲はおおむねこの1年間株取引にかかわった投資家が対象となるのでインパクトが大きい。
そのため、投資家にとって”株価が200日移動平均線などの長期線を下に突き抜けるかどうか”というのは重要なことなのだと思います。
よく200日移動平均線がサポートライン(支持線)としての役割を果たすというのも、200日移動平均線を下回ってしまうと、多くの投資家が含み損を抱えるかどうかといった状況であるという投資家の心理が反映されているものだと理解しています。
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