【短期投資編】MACDの使い方

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MACD(マックディー)はテクニカル分析の中でもメインで使用する分析ツールです。
この備忘録では、①そもそもMACDとはどういうものなのか、②MACDをどのように活用しているのか、また③MACDの弱点について触れます。

MACDとは?

うーん、「移動平均線よりも早くトレンドを見つける」らしいけど、どういうことなのかイマイチよく分からない…

【短期投資編】移動平均線の考え方”では、移動平均線について備忘録を残しました。
MACDはこの移動平均線と似ているのですが、移動平均線よりもう少し早くトレンドを見つけるために開発されたものです。

「じゃあ移動平均線いらなくない?」という疑問はありますが、移動平均線は実際の株価との位置関係でトレンドを見ることもできるため、似ているけどやはり別物で必要と考えています。

さて、話をMACDに戻しますが、

MACDは単純な移動平均(SMA)ではなく、直近の価格を重視して計算された指数平滑移動平均(EMA)を線で繋いでいったものです。

引用元:TradingView

MACDの活用方法自体は簡単なので、あまりよく分かっていなくても正直使えるのですが、少しモヤモヤ感がありますよね。
そもそもMACDってどのように計算されているのでしょうか?

MACDの算出方法

先ほどの図をみると青線赤線の2本の線を使っているのが分かるかと思います。
青線をMACD線赤線をシグナル線と呼びます。

MACD線の計算

まずはMACD線の算出方法を見てみましょう。

MACD線=短期EMA-長期EMA

短期、長期と出てきますが、「短期=12、長期=26」が標準とされています。
ここの値は実際の活用の仕方でも説明しますが、状況によって変えることもあります。

ここでは、標準値に合わせるとしましょう。
そうすると、MACD線の計算式は次の通りになりますね。

MACD線=12EMA-26EMA

シグナル線の計算

次に、シグナル線は次のように計算されます。

シグナル線=MACD線のn日単純移動平均

シグナル線は先ほど求めたMACD線の平均値をつなぎ合わせた単純移動平均線です。
n日は9日が標準とされていますので、置き換えると

シグナル線=MACD線の9日単純移動平均

EMAとは?

さて、MACDを出すための計算式を示しましたが、EMAがさっぱり分かりません。

EMAとは指数平滑移動平均と呼ばれます。
…なんのこっちゃですよね。

冒頭で、MACDは移動平均線よりも早くトレンドを発見するために開発されたと書きました。
移動平均線は〇日間の終値の平均値を繋ぎ合わせていくだけでしたので非常に簡単だったと思いますが、〇日間を同価値のものとして平均化するので、急な価格変化にどうしても追い付かずトレンド転換を捉えるのがやや遅いという欠点があります。

EMAでは移動平均線の欠点を補うように、直近の価格を重視した計算をするものです。
下はあくまで私のイメージですが、このあたりの説明については『真・チャート分析大全』(小次郎講師・パンローリング株式会社)の方がよく分かるかもしれません。

移動平均(SMA)とEMAとの比較イメージ

実際の計算式は次のようになります。

n日EMA={(前日EMA)×(n日-1)+(本日の価格)×2}÷(n+1)

計算式を見る限りでは、単なる価格の平均値じゃなくて、現在価格を2倍することでより直近価格に比重を置いた平均値を出しているように見えますね。
…でも、EMAを求めるのに前日のEMAを知っておかなければならないって…
結局、どうやってEMAを求めるの?

結局、EMAの最初がどうなっているか?という疑問を持っていた私ですが、EMAが単純移動平均をより現在価格に比重を置いた計算式であるとすると、最初のEMAは単なるn日移動平均値であると考えられます。

具体的に1月の日経平均のEMAを移動平均値(SMA)と比較しながら求めてみましょう。
今回は例として5日の期間で計算してみます。

1月の日経平均終値と5日SMA、5日EMA
日経平均終値推移と5日SMA推移、5日EMA推移

パッと見た感じ、上昇・下落時の動きを見ると5日移動平均よりも強く反映していることが分かりますね。

さて、MACDは短期EMA-長期EMAで求められます。
せっかくなので、1月からこの備忘録を書いた2月22日までの期間日経平均のMACDとシグナルを算出してみました。(実際の日経のEMAはもっっと前からあるため、多少数値にズレがあると思います。)

結局のところ、MACDは積み重ねられて作り上げられたMACD線とシグナル線の2本の線をみてトレンドを探っていくというものなのですが、なぜ短期EMAと長期EMAを引くのか、シグナル線は9日間のMACDの移動平均なのか…よく分からないですね。

このあたりは学者が出した結論ということであまり深入りしない方が良いような気がします。
学問としてチャート分析をするなら別ですが、投資家の投資分析ツールとして使うというだけであれば最低限MACDがどういうものなのかを知ることで十分な気がします。

どのように活用するのか?

さて、ここまでMACDは単純移動平均よりもより直近の価格を反映させようとするものであること、MACDの算出方法について見てきました。

ここからはどのようにMACDを活用するのか、についてです。

ゴールデンクロスとデッドクロスで売買を決定する

トレンドを見つける一番の目安は移動平均線と同様、ゴールデンクロスとデッドクロスの発生点です。

ゴールデンクロスが発生していれば上昇トレンドへの転換可能性が高く、デッドクロスしていれば下降トレンドへの転換可能性が高いです。
(この場合のゴールデンクロス・デッドクロスについても移動平均線と同様、MACD線がシグナル線の上に突き抜けるときには同じ方向に向いていることが前提となります。)

そこで、私のMACDの活用方法は、ゴールデンクロスをしているところで買いを検討し、デッドクロスをしているところで一部を売ります。

重要な点は、デッドクロス時に”売る”ということです。
私の短期投資はトレンドに乗って利益を出すことです。ですので、トレンドに乗っている間は持ち続けますし、トレンドから外れた場合には売ります。

テクニカル分析により売買を決めるのでかなりシンプルなルールです。

MACDが当たっているかを確認する

ただし、MACDの使用にあたっては少し注意が必要です。
それはMACDが当たっているのかを確認する必要があるということです。

MACDでは3つの値を設定できます。
それは、短期EMA値の期間・長期EMA値の期間・シグナルの期間です。

これらの値の標準値は12日・26日・9日です。

しかし、この設定では外れていることもありますので、適正かどうかを確認します。
たとえば、次のチャートはNASDAQのものですが、よく見てください。

NasdaqのチャートとMACD(引用元:TradingView)

①ではMACDはゴールデンクロスしていて、NASDAQの価格を見てみると上昇しているので当たっているといえそうです。

しかし、次に②を見てください。
②はデッドクロスです。たしかに価格は下落しているのですが、②の時点では遅すぎるのです。

また、③はゴールデンクロスですが、③の時点ではやや遅すぎるといった感を否めません。

つまり、上記の例では、”一応当たってはいるけどあまり適切とは言えない”のです。
このようなことは実際使ってみるとよく発生します。

原因はMACDが値動きに反応しきれていない場合が圧倒的に多いです。
ボラティリティが大きい時によく起こりますが、このような場合は3つの期間を変えてみましょう。

おおむね、各数値を半分に変えてやると標準値と同じ比率を保ちながら素早いボラティリティに対応できるのでオススメです。

”価格変動が早いときは期間設定を短くしてみる”

では、上記の例で、6日・13日・4日と設定を変えてみましょう。

NasdaqのチャートとMACD(引用元:TradingView)

上の図の青い縦線は12日・26日・9日で設定したときにゴールデンクロス・デッドクロスしていた点です。それに対し、6日・13日・4日に設定したときにゴールデンクロス・デッドクロスしているところには黄色の縦線を引いています。

標準値の期間設定よりも早く上昇・下落に対応できそうですね。
変更後の設定で行けば①で買い、しばらくはトレンドに乗り、②で売ることで利益を得られそうです。

期間の設定部分でシグナル線の標準値(9日)については変更しなくてもよいという記載をたまにmることがあります。チャートはアートなのでこれが正解というものはありませんが、基本的には標準値の3期間の割合は合わせたままの設定変更をするのが筋であると考えます。

MACDは使い方を覚えると本当にメインで活用するテクニカル分析ツールですが、私は他のテクニカル分析ツールの結果も見ながら最終的な買いを判断しています

MACDの弱点

MACDはもともと移動平均線よりも直近の価格に比重を置いている移動平均線です。
そのため、価格の変動幅のある相場では非常に役に立つツールなのですが、価格変動幅が小さいような倍にはMACD線とシグナル線が短期間で交差を繰り返すのでほぼほぼ参考になりませんので、このような弱点もある点は押さえておきましょう。

まとめると、

・ゴールデンクロス・デッドクロスでトレンドを確認する。
 (他のテクニカル分析ツールでも確認して判断)
・価格変動の大きさによってMACDの標準値を変更する。
・価格がもみ合うような場面では機能しないこともある。

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