【その他知識編】よく聞くFRBのあれこれ

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Twitterを見てても投資系のアカウントは必ずと言っていいほど呟いているFRB…
やっぱり知っておいた方がいいのかな?

FRB...株式投資の勉強をしていると必ずと言っていいほど登場してくる用語ではないでしょうか?

私自身、ファンダメンタル分析、テクニカル分析を勉強したあと、Twitterなどで情報収集しているとあまりに登場してきたため調べ始めるようになりました。

さて、今回はFRBという組織について、簡単に確認したうえで、注目したほうが良いポイントについてまとめていきたいと思います。

FRBってどういう組織?

FRBとは

FRBとは、”日本における日銀と同じ、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関で、日本語で「連邦準備理事会」”(SMBC日興証券より引用)と呼ばれるもので、米国の金融政策を決定する機関です。

構成メンバーは大統領から任命された理事7名(うち議長1名、副議長1名)となります。

上の図のように12の地区連邦準備銀行(米国の主要都市に設立されている銀行。以下「地区連銀」)を統括しています。

FRBの役割の一つとして「雇用増加・物価安定・長期金利の安定」があり、そのために金融政策を実施しますが、米国は世界経済の中心でもあるので、FRBが決定する金融政策には世界中の投資家が注目しているというわけです。

FOMCを開いて実施する金融政策が決定される

FRBの話が出てくると必ずと言っていいほど出てくるもう一つのワード”FOMC”

FOMCとは、FRBが年8回、約1カ月半ごとに開催され金利や金融政策を決定する委員会のことです。
FOMCはFRBの議長・副議長・理事3名と各地区連銀の総裁12名の計17名で構成されていて、ここでこれからの金融政策の意見交換をし、決定することになっています。

金融政策などは、投票権を有するFRBの5名と12地区連邦銀行のうちの5名の多数決によって決定されることになります。

FRBのメンバーは上院の承認が前提となりますが、大統領から任命されますのでFRBメンバーが半数の投票権を握っているだけに、FRBのメンバーへの関心度が高くなる理由が分かりますね。

なにせメンバー次第ではタカ的な政策かハト的な政策が進められるのかがほぼほぼ決定づけられるようなものですから…

金融政策はどういうことをしているのか?

FRBが金融政策を実施しているっていうけど、実際どうしているの?
というか、そもそも金融政策が何のために実施されているの?

金融政策の基本的な考え方

さて、実際に金融政策とはどのようなことをしているのでしょうか?

既に大まかな考え方について触れてはいますが、大切なところなので改めて金融政策の趣旨を整理しましょう。FRBの金融政策の考え方自体は日銀が実施する金融政策とも共通しますのでここがしっかり整理できていると国内株式の投資戦略でも役立てることができるでしょう。

まず、金融政策は持続的な経済成長を実現するためにFRBが実施するわけですが、金融政策が必要になるのは、金利を市場の動きにすべて任せると、行き過ぎが起こり国民生活(経済)に悪影響を及ぼす恐れががあるからです。

そのため、FRBは各種データをもとに金利の上げ下げや通貨供給量を調整することで金利を適正な水準に安定させることで雇用や物価、経済成長の維持を目指しているのです。

金融政策の手段

それでは、どのように金利調整を実施しているのか、その手段について確認してみましょう。

公開市場操作(Open Market Operation)

公開市場操作とは、中央銀行が有価証券などを市場で売買することにより市場の通貨量の調整しようとするものです。
FRBによる公開市場操作はニューヨーク連銀が実施することになります。

具体的には、市場の通貨量が不足している場合には、ニューヨーク連銀が市場の有価証券などを買い取ることにより市場の通貨量を増やします。いわゆる金融緩和政策であり、買いオペレーションと呼ばれます。一般的に買いオペレーションが実施されることにより金利を低めに誘導する効果があると考えられます。

逆に、市場の通貨量が過多という場合には、ニューヨーク連銀が有価証券などを市場へ売却することにより、市場から通貨量を減らします。いわゆる金融引き締め政策であり、売りオペレーションと呼ばれます。一般的に売りオペレーションが実施されることにより金利を高めに誘導する効果があると考えられます。

支払準備率の設定

FRBの主な業務として支払準備率の設定というのもあります。
民間銀行は、将来の預金の支払いに備えて預金残高の一定割合を準備預金として中央銀行に預けておきますが、この預け入れる割合のことを支払準備率といいます。
ニュースなどではFF(Federal Fund rate)などと呼ばれています。

一般的に、支払準備率の引き上げがあると民間銀行が中央銀行へ預け絵入れる準備預金が多くなり、民間銀行の資金不足となるため金利は上昇すると考えられます(引き締め)。

他方で、支払準備金の引き下げがあると民間銀行の資金余剰となるため金利は低下すると考えられます(緩和)。

どういう点に注目すればいいの?

FRBが金融政策の舵取りのような役割をしているからその動向に世界が注目していることは分かったけど、結局どういうポイントを見ていくべきなんだろう?

先ほど、金融政策について簡単に触れましたが、金融政策が実施されると相場に大きく影響してきます。
それは、金融政策の実施により米国債の金利(とりわけ重要なのは10年債)が上げ下げするからです。

金利と相場の関係は、一概には言えませんが、一般的に金利が上昇すると株安となり、金利が低下すると株高となりやすいと考えられています。

というのも、市場心理として、国債の金利が上がれば上がるほど株よりも国債に魅力があり、国債の金利が下がれば下がるほど株に魅力があると考えられるからです。

国債と株、どちらの方へ投資した方が投資家にとって利点があるかということを考えると金利と株価の関係はイメージしやすいかと思います。
つまり、FRBの議長の発言やFOMCでの金融政策の動向をチェックする際には、その政策決定の結果として金利がどのように動くのかという点が一つのポイントであると考えられます。

FRBが金融政策を決定する材料

金融政策を決定する際には景気動向を見なければなりませんが、景気動向を分析するためのデータは様々あります。

①GDP(国内総生産)

GDPとは、国内で一定期間に生産されたモノやサービスの付加価値の総額のことをいい、国の経済の大きさや経済活動の水準を知るための重要な指標となります。
GDPには名目GDPと実質GDPがありますが、名目GDPはその時々の市場価格で生産額を表したものいい、実質GDPは物価上昇で膨れ上がった名目値から物価上昇分を引いて計算したGDPとなります。

経済成長率を分析する際には実質GDPが使用されます。

他方で名目GDPは株式時価総額と比較することで株式市場が割安・割高を判断することができるものとして使用され、一般に、株式時価総額と名目GDPの比率が1以上であると割高、下回ると割安と解釈されています(有名な投資家ウォーレン・バフェットがこの指標を使っていることから、バフェット指数とも呼ばれます)。

②インフレ指標

インフレとは、インフレーションのことで、インフレ指標とは物価が上昇しているかどうかを判断する指標で、よく消費者物価指数(CPI)が注目されています。

消費者物価指数は、アメリカの労働省労働統計局が毎月発表する統計で、消費者が購入するモノやサービスなどの物価の動きを把握するための統計指標です。国民の生活水準を示す指標でもあるため、インフレ率の分析をするために重要な指標とされています。
日本でも総務省が消費者物価指数の発表があります。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2017年0.60.1-0.30.2-0.100.10.40.50.10.40.1
2018年0.50.2-0.10.20.20.10.20.20.10.30-0.1
2019年00.20.40.30.10.10.30.100.40.30.2
2020年0.10.1-0.4-0.8-0.10.60.60.40.200.20.4
2021年0.30.40.60.80.60.9

上記は消費者物価指数の結果値の推移ですが、FRBがインフレ率が高いと判断すれば金融引き締めの可能性が高くなりますし、低いと判断されれば緩和の可能性が高くなります。もちろん、現状維持ということもあります。

また、消費者物価指数には結果値の前に、予想値というのも出されていますが、消費者物価指数発表時に予想値と結果値の乖離の大きさも市場へ影響してくる可能性がある点に留意しておきましょう。

③雇用統計

FRBは雇用増加も目指しているため雇用統計は要チェックです。

雇用統計を見る際には、非農業部門雇用者数、労働参加率、平均賃金がポイントとなりそうです。
雇用統計は労働省労働統計局が毎月発表しています。

非農業部門雇用者数

非農業部門雇用者数とは、文字通り農業以外の分野の雇用者数で、民間企業で支払われた給料をもとに集計したものです。雇用者数なので、経営者や自営業者は除かれることになります。

景気が後退すると雇用者は減少し、不景気から回復していくにつれて増加していく傾向があることから景気の動向を見るべき数値といえます。

雇用者数に関連して「失業率」も重要といえます。
失業率とは、労働力人口のうち失業者が占める割合のことを指し、働く気がある人のうち、失業している人の比率が数値として分かります。
失業率が高いと雇用状況の悪化と考えられますし、低いと雇用状況は良好と考えられるからです。

失業率の改善はGDPの改善にもつながりうるため雇用者数を見る際には併せて失業率はどうかという点にも着目する必要がありそうです。

雇用参加率

雇用参加率とは、簡単に言ってしまうと働ける人のうち労働力となっている人の割合を言います。
失業率では働きたいけど就職できないという状況を数値化しているものですが、雇用参加率では働く意思がある人の割合を言います。

「労働力人口÷生産年齢人口」から求められますが、雇用参加率は雇用状況のより深い分析のために使用されているようです。

雇用参加率の低下が意味することは、「労働力人口」の減少、すなわち職探しを諦め働く意思がある人の減少です。

失業率が減っていたとしても、雇用参加率が低下しているという場合には必ずしも景気が良くなっているとはいえない可能性があると考えられます。

平均賃金

平均賃金は時間当たりの賃金を示すもの。
時間当たりの平均収入の増加は、高い消費活動の期待もできます。消費活動が増えるということは経済活動が高くなることにもつながるので平均賃金の伸びはインフレの進行を指すといえそうです。

分析しても市場心理を読み切るのは難しい

さて、ここまでFRBについての概要とみるべきポイント(金融政策決定の際の各種指標)について書き残してきましたが、ここまで分析しても市場が必ずしも思っているような値動きをするわけではない点には留意しておく必要があります。

つまり、市場ですでに予想されている範疇の内容であればFRBがFOMCを通して金融政策を決定したとしてもさほど市場へのインパクトを持たない可能性があります。

もっとも投資をしている以上これらの情報・知識なしに投資を続けるのは投資のチャンスを逃すことにもなりかねませんので、知っておいて損することでもないので押さえておきたいですね。


最後に、私が経済イベントの情報収集をしている際に参考にさせていただいている方のリンクを掲載しておきます。

・Twitterで金融市場の情報を発信してくださっている後藤達也さんのTwitterアカウントです。
 添付してくれる資料も簡潔でかなりお世話になっています。

・高橋ダンさんのYouTubeチャンネル
高橋ダン Dan Takahashi – YouTube
私の投資戦略の基本にもなっていますが、経済イベントがあるときには即解説動画が挙げられることもありますので同じくかなりお世話になっています。

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