【長期投資編】分散を極めたポートフォリオを創り出せ

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長期投資のポートフォリオを作るうえで大切なことは”リスクを分散”させることを意識すること!
でも、”分散”にもいろいろ種類があるらしい...
長期ポートフォリオを作っていくうえでもっと分散の知識を整理しておきたい!

私の投資戦略は長期投資をベースに短期投資を組み合わせるものですが、やはり資産形成の中で大切なのは”長期投資”でしょう。
長期投資ではリスクを分散させることが大切であるということは過去の備忘録(【長期投資編】株を始めて考えるポートフォリオの作り方と考え方)でも書き残してきましたが、分散にも様々な手法があります。

複数の分散を組み合わせていくことが「リスクを低減させながら資産を増やす」ことに繋がりますので、今回は”分散の種類”について簡単に説明したうえで、実際に公開されているポートフォリオの例を見てイメージを膨らませていくことにしましょう。

長期投資ならば知るべき”分散”の基本

長期投資をする場合、一つの銘柄に投資するのではなく分散して投資をすることが基本とされています。
よく「一つのカゴに卵を盛るな」などといわれたしますが、分散といっても様々な手法がありますので、ここで簡単に確認していきましょう。

”資産”の分散

資産の分散とは、商品を分散ともいいますが、特性が異なる資産を組み合わせることをいいます。
たとえば、株式や債券、不動産などを資産の中に組み入れる場合などです。

資産の分散でのポイントは、「各資産(商品)が異なる値動きをする」という点です。
一般に株式と債券は逆の値動きをするといわれていますので、自分のポートフォリオに株式と国債などを組み入れてみるのは資産の分散ができているといえそうです。

また、同じ株式でも、たとえばA株とB株が異なる値動きをする(相関性が低い)場合には、それは資産の分散ができているといえそうですが、もしA株とB株が同じような値動きをするならば、分散という意味では敢えて2社の株を買う必要性は低いと考えられます。

私個人としては個別株よりもETFの購入をオススメですが、ETFにも様々なセクターの指数に連動したETFがあり、それぞれ相関性に違いがあったりするのでセクター別のETFを加えることで資産の分散を図っています。

”地域”の分散

地域の分散とは、投資対象の国を分散させることをいいます。
たとえば、米国や日本、欧州、新興国、先進国などですね。

新興国などはボラティリティが高い傾向がありますので、ポートフォリオに組み入れる際には少ない割合で組み入れることをオススメします。
地域の分散も様々な国の指数に連動しているETFがありますので、ETFを通して様々な国や地域に投資することができます。

”時間”の分散

時間の分散とは、投資のタイミングのことをいいます。
たとえば、手元に30万円があるとして、その30万円で一気に投資商品を買うのではなく、10万円・10万円・10万円に分けて購入することです。

時間を分散させることによって、①高値掴みの回避や②まとまった資金がなくても投資ができるといったメリットがある反面、一気に値上がりした場合には、一気に投資商品を購入した場合に比べて利益は少なくなるといった注意点があります。

また、一定期間に一定額を積み立てて投資することをドルコスト平均法なんて呼んだりもしますが、長期的な視点で見たときには平均購入価格は次第に低くなり、収益が上がりやすくなるとされています

(分散のポートフォリオのイメージ)

上図は私の長期ポートフォリオのイメージですが、これに縛られる必要はありません。
以下で、3つの団体のポートフォリオを見てもらうことになりますが、3つとも資産構成割合は全然異なっていて、それは長期投資の目的が三者三様であるからです。

つまり、どのようなポートフォリオにするのかは自分の年齢や長期投資の期間なども考慮して設定した目的次第で変わりうるものなのです(手堅い構成にするのか、少し攻めた構成にするのか)。

構成例から見る長期投資ポートフォリオ

長期投資のポイントは”分散”

とはいえ、投資を始めて間もない頃はどんな銘柄を買っていいかわからないという方もいると思います。

そこで、ここでは長期投資を実施し、ポートフォリオを公開している代表的な構成例を紹介します。

...いずれも運用額が膨大なため100%マネできるようなものではないですが、「どんな目的でどういう風に分散させているのかな?」という観点で見ると学べるところはたくさんあると思います。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)

まず紹介するのはGPIF
簡単に言うと国民の年金を運用している機関です。
コロナショック時にはマスコミからマイナス運用が取り沙汰されて叩かれていましたが、2021年第1四半期の収益率は+2.68%と悪くありません。

GPIFの運用資産構成割合

(GPIF「2021年度の運用状況」より引用・加工)

資産の割合だけでいうと国内外の株式・債券を均等(各25%)で保有していて、資産・地域に分散しており分散投資のお手本のようなポートフォリオとなっていますね。

2020年度末のGPIFの保有全銘柄が公開されていますので、全銘柄を知りたい方はGPIFの公開しているExcelファイルを添付しておきますのでご参照ください。(銘柄数が多いため参考にはし難いですが各資産のTOP10銘柄くらいを見てみるのは悪くないのではないでしょうか?)

GPIFの運用状況から学べること

GPIFの投資の特徴は、投資対象を主に国内・国外・債券・株式に分散し、構成割合を決めて長期維持するという点にあります。
GPIFは「投資先を分散し、長期間維持しておく方が効率的で良い結果をもたらすことが知られている」ことから手堅い投資手法を実施しています。

国民の年金を運用しているわけですから変にリスクをとった投資は極力避け、いかにリスクを減らし、効率的に資産を増やしていけるかがGPIFの投資の最大の関心事というわけですね。

私たちが特に参考にできることは、「各資産の許容割合を決めて分散投資を実施している」という点でしょう。

GPIF「基本ポートフォリオの考え方」より引用)



GPIFは各資産を25%を目安として保有していますが、市場の価格変動により各資産の保有割合が上振れ下振れすることがあります。

GPIFは各資産の保有割合をあらかじめ決めてしまうことによって常に保有割合を一定の範囲内に保つものとしています。
このようなルールを決めておくことは投資をするうえで焦らずに規律性のある投資をすることを可能とするので個人レベルでも非常に参考となるかと思います。

ハーバード大学基金

ハーバード大学といえば言わずと知れた名門校
そんなハーバード大学の教育水準向上・研究活動への助成を目的として1974年に設立された基金です。
こちらも、個人がマネできるようなものではありませんが、こちらも分散投資のポートフォリオ例として紹介させていただきます。

ハーバード大学基金の資産構成割合

(データ元:HARVARD MANAGEMENT COMPANY「Annual Report」)

GPIFとは異なり、資産構成の割合が均等ではないことは一目瞭然ですね。
このような資産構成にしているのは、基金が毎年大学への資金提供を実施しているためです。

つまり、大学基金としては運用資産の元本を減らすことなく、リターンで得る資金部分で大学への資金提供をする必要があることから、GPIFと異なり年4~5%のリターンを確保できるような資産構成としているわけです。(実際には)

ハーバード大学基金の運用状況から学べること

ハーバード大学基金の特徴は、とにかく様々な資産へ分散されており、上場株式や債券、コモディティに投資をしているのはもちろんなのですが、あまり耳なじみのない未公開株やヘッジファンドといったオルタナティブ投資と呼ばれるものの割合が多い点でしょう。

高い運用利回りを叩き出している大きな理由はハイリスクハイリターンのオルタナティブ投資に積極的な点が挙げられますが、資産を分散、時間の分散を組み合わせることでより安定的なリターンが狙えているものだと考えられます。

バークシャー・ハサウェイ(ウォーレン・バフェット)

さて、投資を始めると一度は耳にする投資の神様ウォーレン・バフェットも忘れてはいけません。

バークシャー・ハサウェイの資産構成割合

( データ元:https://finbox.com/ideas/warren-buffett
( データ元:https://finbox.com/ideas/warren-buffett

バークシャーの保有資産を見るとその多くをアップルなどの情報技術に多くの割合を割いているという特徴が分かりますね。
また、上グラフの下にある表はバークシャーが保有する銘柄のTOP10を表したものですが、2021年8月8日時点でバークシャーは46銘柄を保有していますが、TOP10だけで87%弱も占めている点も特徴的ですね。

バークシャーの運用状況から学べること

バークシャーも例にもれず銘柄もそうですが、セクターの分散をしているのでこの比率を目安にマネをしてみるのは一つの案としてあるかもしれません。

特にハーバード大学基金のように個人ではマネしにくいようなポートフォリオではなく、基本的に米国銘柄の取引ができる状態であればマネすることもできるものなので、ポートフォリオの模範としてみるのもよいかもしれません。

また、バフェットの影響力は偉大です。バフェットがバークシャー保有の銘柄のうちある銘柄を買った・売ったという情報が流れるとその銘柄の価格にも影響が出てくる場合が多いほどです。
そこで、バフェットの取引ニュースが出たら、同じ銘柄を後追い購入することでそれなりのリターンを出している投資家もいるようですが、その際にはバフェットがその銘柄を取引する趣旨を考えるようにした方が良いように思います。

つまり、「バフェットが売ったから売る」「買ったから買う」というのではなく、たとえば、バフェットがある銘柄を売るとした時でも、「将来性を見て売った」というのと、「ポートフォリオ調整のために売った」というのとでは意味合いが全然違ってきますので、どういう意図で取引をしたのかを考える必要があるかと思います。

もともと、バフェットはバリュー投資家として有名でもありますので、バフェットの真意を探る際にはバフェット指数などを参考にしながら検討してみるのもよいかもしれませんね。

個人的に思うこと

さて、分散投資の分散には資産(商品)の分散のほかに国や地域の分散、時間の分散という意味があり、ポートフォリオ紹介したGPIF、ハーバード大学基金、バークシャーにおいても様々な分散をしているということがお分かりになったかと思いますが、もう一つ大切なポイントとしては、長期投資をする際には分散する資産の割合をあらかじめ決めておくとポートフォリオ調整をしながら資産を増やしていきやすくなるということです。

特にGPIFは資産の許容割合を明確にしているので、この辺りは我々としてもマネしやすいのではないかと思います。

ちなみに、資産・国などに分散させるためのETFは過去にも紹介していますので、ぜひ参考にしていただけると幸いです。
【長期投資編】ETFを探す①~米国市場~
【長期投資編】ETFを探す②~セクター別~
【長期投資編】ETFを探す③~投資地域別~
【長期投資編】ETFを探す④~コモディティ~
【長期投資編】セクター別ETF~運用会社別に分けてみた~


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